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【SK∞】「だって君は僕が見つけたイヴなんだから」愛抱夢とランガという才能がぶつかる地上のエデン【もはや恋】

2021/08/31 12:00

才能への執着、闘う喜び……恋と呼ばずになんと呼ぶ



色々な記事で「プライドの高い男が鼻をへし折られるのが性癖」ということを繰り返している記者ですが、『SK∞』にもありました、そんなヘキが。

スケーター愛抱夢(アダム)こと神道愛之介。キャラの濃い脇役ヒールかと思いきや、右腕として仕える忠犬「菊池忠」や、ジョー&チェリーとの学生時代からの関係など、メインキャラとの絡みも濃く、また最終話のエンディング後の愛抱夢→忠の「お前は一生俺の犬だ」に完全に持っていかれたことが話題になりましたよね! もはや主人公(孤高のヒール、裏主人公と言われがち説)。

今回はそんな愛抱夢について語っていこうと思うのですが、そんな中でも注目したいのは、実はあまりフォーカスされることのない(?)ランガとのコンビの魅力。スポ根理論的には、最終バトルは主人公サイドとラスボスが満を持しての決戦! というパターンが多いですが、SK∞においてのラストバトルはこの2人なんですよね。SK∞界のアダムとイヴこと愛抱夢とランガについて、掘り下げていきます!
 

◆目次◆
1.抑圧された渇望ーー愛抱夢という男

2.「君は僕が見つけたイヴ」一目惚れからの激重執着

3.ランガは誰と闘うのか。持てる者と持たざる者

4.生と死の狭間、肉体ぶつかり合う「最終決戦(ハネムーン)」

 


「目を瞑っちゃダメだよ。恐怖は最高のスパイスだ」(CV.子安武人)

 


変態スケーター愛抱夢は劇薬であります。
レース中に突然Uターンして相手の正面から突進する危険な技「ラブハッグ」を繰り広げたり、ボードの上で華麗にステップを踏み始めたり、あろうことかレース中にスケボーで対戦相手をぶん殴ったりと、「スケボーとは何なのか?」という哲学にいざなってくれる男(そもそも『SK∞』というアニメ自体がスケボー界におけるテ◯プリやイナ◯レのような「本質を問うてくる」ところがありますが……)。

彼のおかげで何人のスケーターが病院送りにされて来たか。にしても、スポ根を見ていてこんなに病院が登場するとは思わなんだ。

そんな自他の命を削る不気味なスケートを持ち味とする愛抱夢ですが、天使のショタ期〜高校時代はマジで可愛いのに、どうしてこうなっちゃったんでしょうか。それは彼の幼少期からの家庭環境に起因している模様。
政治家一家の跡取りとして国会議員を務めている愛抱夢は、幼少期から期待を掛けられ厳しい躾を受けてきました。彼がスケーターにサディスティックなアタックを繰り返すことを「憎いのではない、愛しているからそうする」と発言するシーンに、その歪みが垣間見えます。楽しむことを忘れ、孤独感の中、結果を出して認められることへの執着に囚われているのでしょう。

そこで彼の右腕の菊池忠が出てくるわけですが、彼と愛抱夢については既にカレラでも狂った記事が書かれていますので、コチラをご参照ください。

 


「脚を……触ってもいいカナ!?」


家庭では抑圧され、日常では足の引っ張り合いの政界に揉まれ、スケボーでは自分と対等に戦える相手がいない。そんな孤独な愛抱夢の前に天使が現れます。

元スノーボーダーの少年、馳河ランガ。
立てばモナリザ、座れば女神、滑る姿は大天使」とでも言うべき美しき天才スケーターですが、そんな彗星の如く現れたランガが映るクソデカモニターを上裸で眺める愛抱夢のバックには、ベートーベンの「運命」のレコードが流れています。
ランガの才能にを目の当たりにした愛抱夢は、ランガを「自分(アダム)の元に現れたイヴ」だと一目惚れするのです。
この男、厄介だけど、才能を見る目は確かなんですよね。

ファーストコンタクトではその興奮を抑え切れない様子でランガくんのおみ足の周りをさわさわしながら、

「体重のかけ方を変えればもっと良くなる。例えばオーリーの時は脚を(ネットリ)……(吐息)触ってもいいカナ……!?!?!?」(CV.子安)


そこで「ちょっと待て」とキレ顔で割って入るレキがまたイイ。んも〜、ランガくんももうちょい抵抗しようよ!

そこから愛抱夢の猛アタックが始まっていくわけですが、こういう「能力フェチ」な変態キャラって、一途でアタックが全力で、可愛いんですよね。

ここまでで「アダムとイヴとかなんか"匂う"な……」と思ったそこのアナタ、5話を見ろ。トぶぞ。



初めてのレース当日、薔薇のクソデカ花束を渡し「花言葉は情・熱・の・愛(ネットリ)」と囁く愛抱夢。
そのレースが凄い。2人で指を絡め合い、体を密着させ、抜きつ抜かれつくんずほぐれつ、もうこれ実質……おっと、誰かがきたようだ。

筆舌に尽くし難い名レース。まだ本編を見ていない方はぜひご覧いただきたいです。


レキと滑ることと、愛抱夢と滑ることは違うのか?


さて、ランガの方も、彼は彼でレキとの友情が描かれていきます。
『SK∞』は誰が主人公かというと皆それぞれ主人公なのですが、転校生はヒロインと相場が決まっているので、やっぱりレキが一番その立ち位置に近いのではないでしょうか。

アニメの後半は「S」で最強のスケーターを決めるトーナメントが繰り広げられます。そこで戦う選手に主人公であるレキが当初除外されていたということは、主人公がラスボスと戦うというスポ根理論に少なからず逸れていることになるでしょう。


未経験のランガにスケボーを教え、カスタマイズボードも作ってあげたレキは、ランガがスケボーレース「S」で強豪たちと闘い頭角を現していく姿を見ながら、彼ら天才と凡人である自分との違いを自覚し闇堕ち。ランガとも顔を合わせられなくなってしまいます。

しかしランガが、レキのクリエイティブさやアイデア、スケートにかける情熱など、自分が見えていなかった強み、そして何よりスケートの楽しさを再び気付かせるのです。ちくしょう、やっぱここのコンビ”””強”””すぎるなと思うのですが……しかしそこから、運命の愛抱夢vsランガの最終決戦へと続くのです。

仲直りスケートでキャッキャウフフしているレキとランガを、ドローンカメラで監視している愛抱夢はストーカーすぎて草。それレース用のモニターじゃなかったのかよ。
この段階に至ってはもう、ランガをレキからNTRることに快感を覚えているとすら思えます(^_^;)。
 


「ボクには聞こえて来たよ……鳴り響くウェディングベルが!」

 


何やかやあって結局レキと対戦することになった愛抱夢は、レキに知恵負けしかけたことで火が着き、骸骨を象った死に装束でランガとの決戦に現れます。恋い焦がれるイヴとの決戦だからって、そんなに思い詰めなくていいのに。

しかしロケーションも普段の「S」とは異なり、崖っぷちだらけの特別会場。下には深い谷が。落ちたら確実に死にます。
つまり、愛抱夢とランガという才能に愛された男たちのガ・チンコ・対決には、濃厚な「死のニオイ」が立ち込めていました。

初っ端からトップギアでレースは始まり、程なくしてゾーンに入る2人は、「2人だけの世界」に入りお互い以外の存在は何も知覚できなくなります。
そしてその過度に集中し視野が狭くなった状態で、ついにランガがコースを外れ崖から落下するのです。

こう思った方もいたでしょう。

私はスケボーアニメを見ていただけなのに、まさか"""推しが死ぬ"""のか……?

しかし「仲間とスケートをすべる楽しさ」を思い出し正気に戻ったランガは、「ランガくんもボクの前から消えるのか。やはり最初からイヴなんていなかった」と絶望する愛抱夢の背後に舞い戻り、愛抱夢を現実に引き戻します。
ランガは「本当は愛抱夢も自分以外の誰かを求めている」と指摘。そこからの静かなラストスパートは、涙が出るほど美しい。

ああ、これがアダムとイブのハネムーンや……。

闘いが終わり愛抱夢は忠に、捨てたと思っていた「スケボーの楽しさ」をランガに教えられたことを仄めかします。

決勝戦のゾーンの中で「誰にも命令されない、期待も押し付けられない、スケートのことだけ考えていればいい世界」というのが愛抱夢の望みであり、その理想のエデンには本当に自分と対等に闘えるパートナー、すなわちランガがいるのだな……と気付き、愛抱夢を抱きしめたくなるのです。

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さて、 愛抱夢とランガのコンビの魅力は伝わりましたでしょうか?

彼らの関係はこれで終わりではなく、むしろ愛抱夢のランガへの愛はさらに重くなったということが分かります。エンディングも目をかっぴらいてちゃんと見ましょう。

ところで冒頭で、このコンビはあまりフォーカスされることはない? というように書いたのですが、公式からはなかなか推されているのを感じるんですよね。決勝戦ペアなので当たり前なのですが、このコンビが気になった方は、SK∞の次回予告やCMも見逃さないでくださいね!
 

 

7月4日に新作アニメプロジェクトの始動が発表された『SK∞』。自分だけのイヴとスケボーの楽しさを見つけた愛抱夢、才能が花開いたランガ、自分なりの楽しみ方を見つけたレキ。この先の彼らが見られるのですか……!? 期待しています!
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