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【うたプリ】出戻り組の筆者が感じた「スタツア」違和感の正体

2023/03/15 20:00

うたプリって乙女ゲームじゃなかったっけか……?

 

「ドキドキで壊れそう1000%LOVE」
…このフレーズを知らないでオタク道を歩んできた人はいないのではないでしょうか。
そう、このフレーズは泣く子も黙るかの有名なアニメうたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVE1000%』の劇中歌「マジLOVE1000%」のもの。

アニメ1期放映より12年が経ち、すっかり老舗ジャンルとなったうたプリ。昨年2022年9月に劇場版第2作目の劇場版 うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズが公開され、今大変な盛り上がりを見せているのはご存じですか?
……え!?!! ご存じない!? 由々しき事態ですので早急に予告編だけでもご覧ください!


 
何を隠そう、筆者も本作で約10年ぶりにうたプリに出戻り、今やすっかり沼の底に沈んでしまった1人。しかし、スタツアを見ている間謎の違和感が……?

ということで本記事では、スタツアの魅力と、思わず自分の記憶を疑うほど変化した(ように感じる)うたプリの方向性について考察していきたいと思います!

※本記事には映画本編のネタバレが含まれますので、あらかじめご容赦ください。

◆目次◆
1.『マジLOVEスターリッシュツアーズ』のココがすごい!!
その1:新規ストーリー一切なし! 全編ライブ映像
その2:グループ単体のみの登場
その3:いたるところに散らされた"関係性"萌え要素
2.めっちゃよかったけど……あれ、なんか足りなくない?

3.乙女とキャラクターの関係性重視……両軸にしなかったのはなぜ?
4.うたプリはどこへ向かう?

 

 
出先で急遽時間が出来た筆者。昔好きだったうたプリでも見るか~と急いでアニメイトで調達したペンラを握りしめ劇場に向かったのですが……。
余りの良さに脳髄を焼かれた結果、気付いた時には翌日の上映チケットを発券していました。(そこから1週間で4回見に行きました。)

初見時に何がそこまで刺さったのかを冷静になった今まとめてみました。



その1:新規ストーリー一切なし! 全編ライブ映像


今作、なんと新規ストーリーがありません!!
約80分ただただ彼らのライブがMCを挟みながら続いていきます。そのためST☆RISHに過去何があったのかを知らなくてもこの作品1つだけで楽しめてしまうのです!

おかげさまで筆者も他ジャンルのオタクでST☆RISHメンバーの顔しか知らない友人複数人を劇場に連行することに成功しました。 うたプリの映画気になるけどアニメ4期分見るのしんどいな……と思っている方は安心して今作を鑑賞してください。
あとこれは予言ですが、気づいたらその後4期分一気に見てるはずです♪

その2:グループ単体のみの登場


すでに鑑賞した方も、そうでない方の大多数もご存じかと思いますが、本作は「スターリッシュツアーズ」とあるように、ST☆RISHのみが登場します。

彼らに加えてQUARTET NIGHTやHE★VENSなどのグループが増え、知らぬ間に18人体制とすっかり大所帯となっていたことから劇場版第1作目はスルーしてしまった筆者のような人間も安心して楽しむことができました。

早乙女学園に在籍していたアイドルの卵だった彼らとPSPをポチポチしながら愛を育んでいた筆者は、すっかり一人前のアイドルになった様子を見て思わず涙。わが子が巣立つ時ってこういう気持ちになるんですね。産んでないけども。(下記画像は筆者私物。)



その3:いたるところに散らされた"関係性"萌え要素


筆者が感じた最大の魅力は何と言ってもコレ。
ST☆RISHのメンバー間での絡みがとにもかくにも供給過多!! 致死量の萌えで劇場で気を失いかけました……。クソでか感情は用量用法を守って正しく摂取しなければならないとあれほど言ったのに! (いつ?)

同室組はもちろんのこと、親友組、紺ポロ組、寒色組、年長組などなど……。ありとあらゆる絡みが楽しめるのですが、今も昔も御曹司担の筆者はアンコールの新曲「セイクリッドペアーズ」で無事爆死。

ライバル関係にある財閥の息子で、度々不仲芸を披露してきた神宮寺レンと聖川真斗が自分たちのことを「太陽と海みたいなペア」と呼び、「LOVE」という歌詞に合わせて二人でハートを作る未来なんて誰が想像してました!?!!?!?

無発声応援上映で本当に良かった。声出しOKだったら危うく劇場で雄叫びをあげているところでした。御曹司については言いたいことがあと2103954個くらいあるのですが、記事が終わってしまうのでこのくらいにしておこうと思います。

 
「スタツア最高~^^」とマスクの下で歯茎むき出しスマイルを浮かべながら帰路についた筆者でしたが、ある1つの疑問が。

「あれ……? うたプリって乙女ゲームじゃなかったっけか???」

本作のヒロインとしてST☆RISHメンバー全員から恋心を寄せられていた我らが七海春歌女史は、今回の映画ではまさかの最後静止画で後ろ姿が1カット映ったのみの出演。劇場版前日譚のOVAアニメでも出番はほとんどありませんでした。



彼女をプレイヤーとして動かし、アイドルとの恋模様を楽しんでいた我々も、「ST☆RISHのライブを見に来た観客」という視点に固定されているため、言ってしまえば乙女ゲーム原作らしからぬ内容といえるものでした。

そこで、うたプリは夢路線からキャラクターの関係性重視路線にコンテンツの売り方を大胆に方針転換したのではないかと考えた出戻り組の筆者。
うたプリの歴史を振り返りながらそのターニングポイントがいつだったのかについて考察してみました。

候補1:アニメ1期放映時(2011年)


乙女ゲームをアニメ化するにあたり、ゲーム内では一切登場しなかった攻略キャラ6人によるユニット「ST☆RISH」が登場。この時点でゲーム時代に比較すればメンバー間の絡みは増えますよね。同室設定についてはゲームから引き続きのものだったので、アニメ内でも同室の様子が描写されることも多くありました。

ただ、アニメの内容は毎話異なる1人のキャラと主人公・春歌に焦点を当てたもの。2人の間に起こる出来事を通してプリンスさまたちが春歌のことを好きになる様子が描かれていました。

同室組という何ともおいしい設定がある以上、関係性重視派も当時からうたプリに多数生息してはいましたが、本編ストーリーを考えると公式はあくまでサイドディッシュくらいにキャラクター同士の関係性を考えていたような気がします。とすると、この時点で路線変更をした可能性はかなり低いと言えますね。

候補2:アニメ3期・4期放映時(2015年~2016年にかけて)


次に考えられるのがこちら。スポーツの祭典「SSS」(トリプルエス)のオープニングアクトの座をST☆RISH、QUARTET NIGHT、HE★VENSの3グループが争うというのがメインストーリーだったアニメ3期と4期。

もちろん各アイドルたち(特にQUARTET NIGHTやHE★VENS)と春歌のやり取りもありますが、それ以上にST☆RISHのシャッフルユニット企画や、これまで馴れ合いを好まなかったQUARTET NIGHTが共同生活を営むなど、ユニットメンバーの絆に焦点を当てた内容のものとなっていました。

1期・2期を視聴していた筆者からするとやや話の流れが変わってきたな……? と感じるように。しかも4期には3グループ18人体制となり、6人だったころと比べて「いや、人多くない??」と思ったのも正直なところです。だって1期の3倍アイドルがいるんだもの……。


新規キャラの登場やメンバー間の関係性をクローズアップし始めた本作
は、うたプリがコンテンツとして変化を迎えた地点として考えてよさそうです。
また、この頃に路線変更を決断したのではないかという推測を補強する出来事が2つあげられます。

1つ目が、うたプリシリーズ完全新作の乙女ゲームとして2016年に開発決定のアナウンスがなされたうたの☆プリンスさまっ♪ Dolce Vitaについて、2023年2月現在に至るまで続報が全くなく事実上の無期限延期状態となっていることです。

2つ目が、2015年4月に今や時代を担う覇権アイドルソシャゲとなったあのアプリがリリースされたことです。
そう、あんスタの略称でおなじみのあんさんぶるスターズ!

あんスタと言えば、プレイヤーは女性でありながらもマネージャーというポジションであり、アイドルを目指すキャラクターたちを育成するのが特徴的な内容。プレイヤーが彼らと恋愛関係に至ることはありません。加えてプレイヤーの目の前で繰り広げられる濃いめの同性同士の友情。


あんスタの爆発的ヒットとともに、女性向けジャンルのメジャーコンテンツが自身が恋愛対象となる乙女ゲームから推し同士の関係性を見守ることができる育成ゲームに変わっていきました。ほんと、あんスタって革命的ジャンルだったんんだなあ……。(しみじみ)

そこで、長年乙女ゲームに軸足を置きながらコンテンツを発展させてきたうたプリも、世間の流行に合わせて今までの夢路線から関係性重視路線に変化していく必要があったのではないかと推察されます。(筆者は関係者でありませんので、あくまで筆者一個人の憶測にすぎません。)


候補3:シャニライ(※うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live)リリース時(2017年8月)

 
ダメ押し的ですが、このアプリのリリースをもってうたプリの路線変更が確定したと考えられたので候補に加えさせていただきました。

本アプリはリズムアクションゲームに分類されるもので、夢主要素はほぼ皆無。(思い出したようにサイドストーリーでたまに夢主のような扱いをされると逆にビビります)。


メインストーリーやイベントストーリーはアイドルたちの劇中劇やロケの裏側をのぞき見できるようなものばかりで、メンバー間での絡みが多く見られるのが特徴的です。期間限定シーズンガチャも必ず2キャラUR設定され、アニメ本編ではどうしても絡みが薄くなってしまうような関係性のキャラの間の会話なんかも見られるようになりました。

こうしてうたプリは、ゲームにおいてもこれまでの乙女ゲーム路線から育成ゲームの様相を呈したものへと変貌を遂げたのです。

まとめると、うたプリの路線変更は2015年から意図され、2017年のシャニライリリースをもって完了した、というのが筆者のたどり着いた結論です。


ここまで読まれた方の中には「そんなこと言ったって今まで乙女ゲームとしてやってきて人気あるんだから、乙ゲー要素に関係性萌え要素をモリモリ詰めたら一石二鳥やんけ!!」と思った方もいるのではないでしょうか。否、そうは問屋が卸しません。

なぜなら乙女ゲームジャンルにおいては1994年にコーエーテクモよりアンジェリークが発売されて以来、「乙女ゲームにキャラクター同士の濃い関係性要素を持ち込むこと」についてユーザー内で賛否両論意見が真っ二つに分かれ、数々の戦争が巻き起こってきたという歴史があるからです。

そして、近年乙女ゲーム内の主人公とキャラクター以上の濃い関係性に対しては以前にも増して風当たりが強くなっている傾向があるといえます。「じゃあ昔の夢女子は関係性萌えに寛容だったの?」というと、そういうわけではありません。変わったのは関係性萌え人口の数ではないかと、筆者は考察しています。

乙女ゲーム黎明期においては、男女の恋愛をメインシナリオとしている作品内で男性同士の絡みに萌えを見出すことは夢女子に申し訳ない! という認識を持つキャラの関係性重視派が多く存在していました。それがジャンルの拡大・普及とともにキャラ同士の関係性を重視するユーザーの数が増加し、オタクのあり方も大きく変わってきました。そのため昔以上に夢女子からの抵抗の声が多く聞かれるようになったのではないかと考えられます。

実際問題、近年では2021年にオトメイトよりリリースされた乙女ゲームである終遠のヴィルシュにて、キャラクターの1人が一方的ではありますが男性→男性に好意を向けていることをにおわせる描写がゲーム内に登場。公式からBL的な描写があることについてアナウンスが無く発売されたため、ちょっとした騒動にまで発展したケースもありました。

こうした状況下において夢もキャラクター同士の濃い関係性が含まれる要素もどちらも1つのコンテンツ内で扱うことはファンの対立を招く恐れが大きく、ジャンル全体の人気を落とすことにつながりかねるのではないかと、筆者は推察しています。

 

 
コンテンツ始動から12年目にしてもなお、全編3DLIVEの劇場版完全新作で我々に新しい世界を見せてくれたうたプリ。今回路線変更をしたとは考察しましたが、楽しみ方を狭めたというよりも夢だろうが関係性萌えだろうが、変わらず私たちに無限の楽しみ方を提供してくれているように感じます。

もちろん、今年2023年もその勢いはとどまるところを知りません! 来る3月23~26日には幕張メッセにて3DLIVEであるSHINING STAR STAGE(※略称:SSS)の公演が控えており、11月には初のST☆RISH単独ライブがセキスイハイムスーパーアリーナにて開催されることが決定しております。


「100万回生まれ変わっても君を見つける」と歌ってくれた彼らが目指すのは、次元の壁を越えていつでも会いに来てくれるスーパーアイドルなのではないのでしょうか。(〇カ〇カ★ナイト〇ィーバー?)
彼らプリンスたちが3次元領域に本格的に進出するのも時間の問題と言えますね!

追記:この記事を書いている途中にキスマイ宮田のニコ生やったってit’s Alright!にて、キスマイ宮田さんと一十木音也くんのコラボが実現。互いの曲をカバーしダンスを披露しました。


これで宮田さんがST☆RISHメンバーとコラボするのは一ノ瀬トキヤくんとのクロスユニットに続いて2回目。
いつの日か、ジャニーズとうたプリの合同ライブが実現することを筆者は切に願っております。

作品概要

劇場版『うたの☆プリンスさまっ♪ マジLOVEスターリッシュツアーズ』

 


2022年9月2日より全国劇場にて公開された本作ですが、なんとまだまだ一部劇場にて上映されております! 劇場で楽しみたいという方は、是非この機会に足を運んでみて下さい♪

上映中劇場についてはコチラからご確認ください。

配信・DVD/Blu-ray情報



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DVD・Blu-rayの発売は2023年3月15日となっております!
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