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「センチネルバース」って何?令和に来る「バース」はこれだ!!!
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2022/11/12 18:00
◆目次◆
匂い系その1 『火花』作:又吉直樹
匂い系その2 『白いへび眠る島』作:三浦しをん
匂い系その3 『李歐』作:高村薫
匂い系その4 『聖なる黒夜』作:柴田よしき
匂い系その5 『開かせていただき光栄です』作:皆川博子
匂い系その6 『バスタオル』作:福島次郎
匂い系その7 『婆沙羅』作:山田風太郎
匂い系その8 『さくら、うるわし 左近の桜』作:長野まゆみ
匂い系その9 『聖なる黒夜』作:柴田 よしき
匂い系その10 『潮騒の少年』作:ジョン・フォックス
<あらすじ>
『同姓愛』という性癖を抱えた兄と弟。近親憎悪から四十年以上も音信不通にあった兄弟の絆を渾身の筆で描く話題作。『バスタオル』併録。
薫りポイント
芥川賞候補にもなった、高校教師と生徒の少年の悲恋を描く知る人ぞ知る短編です。胸が苦しくなるような尊い純愛かと思えば濡れ場の描写も生々しく、さすが最高峰の文学賞ノミネート作品 感心しつつ滾ります!! 「君と好きな人が100年続きますように……(ハ〇ミズキ風に)」という気持ちになるのですが、教師と生徒という禁断の関係は幸せなばかりではいられず… 。ラストで回収されるタイトルの意味が切ないです。
表題作『蝶のかたみ』も、兄弟同士の執着モノというワードにピンときた方にはオススメです!
<あらすじ>
鎌倉幕府打倒に失敗し、隠岐へ流される後醍醐天皇、お人よしで涙もろい足利尊氏、冷徹な合理主義者足利直義、好色悪逆に生きる高ノ師直、師泰兄弟…。百獣横行の乱世を、綺羅をかざり、放埓狼藉をきわめ、したたかに、自在に生きぬいた、稀代の婆沙羅大名・佐々木道誉の生涯を描く、絢爛妖美の時代絵巻。
薫りポイント
男女のかなり過激な性描写があり、男同士の交わりのシーンを目当てにしているとなかなか出てこないのですが、そのシーンは圧巻! 主人公は婆沙羅大名の佐々木道誉ですが、終盤にみんな大好き世阿弥くんが登場。義満×世阿弥という公式CPのぶっ飛んだ、しかし美しい濡れ場が描かれます。
書影は本作が収録される昨年発行の『山田風太郎傑作選』ですが、『婆沙羅』のみが収録された単行本や文庫本もありますので、お好きな形式のものをチェックしてみてください♪
<あらすじ>
小旅館「左近(さこん)」の長男・桜蔵(さくら)は、母と弟が暮らす家を離れ、父・柾(まさき)の元から大学に通っている。柾の庶子ではあるが特に不自由はなく、柾の本妻である遠子(とおこ)とは、気軽に連れ立って出かけられるほどだ。複雑な家族関係に不満はないが、誰からか継いだ、不可思議な体質は困りものだ。見えないはずのものを見てしまうだけでなく、その者たちに魅入られ、身体をほしいままにされてしまう。それも、集まってくる者たちはいずれも桜蔵を「いい女」と呼んではばからないのだ。
耳を求めさまよう犬、男か女か判然としないマネキン――この世ならぬものたちが桜蔵の身体を求め…。生と性、死の気配が絡み合う珠玉の連作幻想譚。
薫りポイント
匂い系小説の第一人者である長野まゆみ先生の人気シリーズ。 『さくら、うるわし 左近の桜』の3作が出ており、人ならざる者の「女」にされてしまう特殊な体質を持った桜蔵(さくら)という少年の体験がオムニバス形式で繰り広げられます。表紙の桜蔵がTHE美少年ですよね……!
長野まゆみ先生の作品はBLっぽい一般小説を読んでみたい! という方にとにかくオススメ。何より作品数がある! こちらの少年愛だけじゃない! 長野まゆみの描く妖しい青年愛5選の記事などでも何度か取り上げています。
<あらすじ>
東日本連合会春日組大幹部の韮崎誠一が殺された。容疑をかけられたのは美しい男妾あがりの企業舎弟…それが十年ぶりに警視庁捜査一課・麻生龍太郎の前に現れた山内練の姿だった。あの気弱なインテリ青年はどこに消えたのか。殺人事件を追う麻生は、幾つもの過去に追いつめられ、暗い闇へと堕ちていくーー。
薫りポイント
ちるちるでも既にこちらの「匂い系文学作品5選…話題のこの一般小説ってBL?」の記事で取り上げていますが、警視庁捜査官、裏社会、ヤクザの幹部、その美しき男妾……というように、闇のBLファンが大好物な設定が盛りだくさん。
何度か登場する男性同士の濡れ場は、高い文章力で詳細に、官能的に、その交わりが描かれます。濡れ場の表現だけではなく作品の面白さ、深さ、筆力自体が高く評価されている作品です!
<あらすじ>
何だって上手くできそうで、何一つ上手くいかない16歳の夏。ニューヨークのハイスクールに通うビリーは倦怠感に苛まれていた。真面目一辺倒の教師達、始終セックスしているアホなクラスメイト。命令と質問しかできない疲れた両親。でも、年上の大学生アルフレッドだけは煌めいて見えた……。夏の匂いと、高まる皮膚感覚の中、同性愛という“至高の関係”を始めた二人の少年を描く。
薫りポイント
こちらはアメリカのロングセラーゲイ文学。思春期の男子の、様々な悩みが赤裸々に描かれる中、年上男子とのアバンチュールにキュンキュンします! エッチシーンはかなりリアルに描かれており期待を裏切りません。
本作のゲイの少年たちを巡る周囲の状況は、1980年代当時のアメリカの実情を反映しており、時には辛くなる描写も。セクシュアルマイノリティーをテーマにした「クィア文学」の入門としても、ぜひ読んでみてください!