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【主従推し集まれ!】今あえて問う「ジャミル・バイパーの魅力は従者であることなのか?」【ツイステ】

2021/05/15 12:00

ユーザーのオバブロ製造機……この従者、沼すぎる



突然ですが皆さん、「主従関係」はお好きですか? 主人を真っ直ぐに敬愛し付き従う従者、逆に従者を寵愛する主人、はたまたビジネスライクから発展する関係などなど。筆者も長いオタク(BL好き)歴のなかで、それなりに主従関係ライフを満喫してきたつもりでした。そう、「ツイステ」のジャミル・バイパーに出会うまでは……。

ツイステッド・ワンダーランド公式Twitterより

同級生でもある自由奔放な主人カリムに振り回されながらも、優秀な従者として全てを完璧にこなすジャミル。一見信頼の厚そうな何の変哲もない(?)主従関係ですが、このジャミルという男、腹に一物も二物も抱えていて……!?

今回はそんなジャミル・バイパーの魅力を、彼を巡る主従関係萌えとともに余すところなく検証していきたいと思います! 読み終える頃には、きっとあなたも沼の住人です。

ツイステを知らないという方も、映画『アラジン』を観たことがある方はぜひお楽しみください!

※当記事には配信済みのストーリーのネタバレ、個人的な考察が大いに含まれます

記事の性癖キーワード 主従関係、従者の下剋上、光の主人と闇の従者、幼馴染み、黄昏の腐女子

◆目次◆
ジャミル・バイパーって何者?
・悪役たちの真の姿を描く物語「ツイステッドワンダーランド」
・ジャミルを巡る元ネタは?

ジャミル沼① 表と裏のギャップ
・実力を秘めて生きるミステリアスさ
ジャミル沼② カリムとの主従関係
・従者時々オカン、しかしその内情は……

・「一番」という名の自由を求めて
ジャミル沼③ 映画『アラジン』との掛け算
・ジャファーでありジーニー?
・考察してもしきれない「余白」がしんどい
おわりに
・「ジャミルの魅力は従者であることなのか?」



 

悪役たちの真の姿を描く物語『ツイステッドワンダーランド』


ツイステッド・ワンダーランド公式Twitterより

2020年3月に配信リリースされたスマートフォン向けアプリ『ディズニー ツイステッドワンダーランド』は、ディズニー作品に登場する“ヴィランズ”(悪役たち)の「真の姿を描く物語」。大人気漫画『黒執事』の作者である、枢やな先生が原案、メインシナリオ、キャラクターデザインを担当していることでも知られています♪

異世界「ツイステッドワンダーランド」に突然召喚され、全寮制の名門魔法士養成学校「ナイトレイブンカレッジ(NRC)」に入学することになってしまった主人公。学園には、かつて世界に存在した7人の偉人「グレート・セブン」に倣った7つの寮があり、それぞれ異なるディズニー映画にインスパイアされています。

ストーリーには原作映画のモチーフがふんだんに盛り込まれ、ディズニー作品の世界観を追体験するように物語を楽しむことができるのが、ツイステの魅力の一つです。


ジャミルを巡る元ネタは?


第4章のメインキャラクターとして登場するのが、映画『アラジン』にインスパイアされた「スカラビア寮」の寮長カリムと、副寮長のジャミル。ジャミルは同作のヴィラン、ジャファーを元にしたキャラクターだと言われています。しかし、どうやらそれだけではないようで……詳しくは後半で考察し尽くしたいと思いますので、まずはジャミル個人のキャラクター性と魅力についてご紹介します♪

 

 

実力を秘めて生きるミステリアスさ


ジャミルは、世界でも有名な大商家・アジーム家に代々仕える従者の家系で、アジーム家長男のカリムとは幼い頃からずっと一緒に育ってきました。

ツイステッド・ワンダーランド公式Twitterより

おおらかな反面、超大雑把なカリムにいつも手を焼いているジャミルですが、自分の至らなさでアジーム家の名に傷をつけるなど言語道断! 従者としての能力は超一流、周囲が驚くほどの超人ぶりで日々カリムの世話を焼き続けます。が、それを褒められれば「アジーム家に育ててもらった」「カリムあってこそ」と主人を立てる謙虚な姿勢。こんな完璧な従者、なかなかお目にかかれません。

これだけの仕事ぶりなら、勉学もさぞ優秀なのでは? と思いきや、意外にも学校の成績はつねに10段階でオール5。あら、意外と普通? ……でも待って下さい。そんな通知表、見たことありますか?

ジャミルのクラスメイトである、オクタヴィネル寮寮長アズールの言葉を借りるならば「どの科目にも目立った穴がない。まるで“調整”しているかのようなムラのなさ」。クラスでも決して前に出ることはないジャミルですが、普通でありすぎることは、もはや普通ではないのです

実際のところ、「目立つのはごめんだ」「出来すぎず、落ちこぼれず、可もなく不可もなく。それが成功への近道」というのがジャミルの本心。良き従者、有能な副寮長、平凡な学生。一体どれが本当のジャミルなのか、考えれば考えるほど沼にハマっていきます……

 

 

従者時々過保護なオカン、しかしその内情は……


ジャミル・バイパーを語るうえで、絶対に掘り下げなければならないのが、主人であるカリム・アルアジームとの関係です。カリムの元ネタは、サルタン王(ジャスミン姫の父)のほか、再現されている台詞などからアラジンの要素も持っていると推察されています。

カリムを一言で表すならまさに「主人公気質」! 明るく朗らかで、一緒にいるだけで周囲を陽の空気に巻き込んでしまうようなキャラクター。ただ、ヴィランズが集うNRCにおいては、少々眩しすぎる存在のようです。


ジャミルとカリムの仲について「オレとジャミルは兄弟みたいなもん」とはカリムの談ですが、ここで今一度、スカラビアの関係性が分かるTVCMを観てみましょう。



おやおや……ジャミルの台詞。少々不穏な空気が漂っていますね

実はジャミルは、生まれながらに背負っていた「主人と従者」という心躍r……重い宿命に、納得などしていなかったのです。

物心ついた時から、何でもカリムに“一番”を譲らなければならなかったこと、そして誰よりも近くにいながら、その事実に一切気が付かないカリムの無自覚の傲慢さに、激しい怒りを燃やしながら生きてきました。「お前だけは絶対にオレを裏切ったりしない」――カリムのこの台詞にも、ジャミルの心は冷ややかだったはず。

そして運命の4章。ついに彼は、自身の不遇を自らの手で終わらせるための行動に出ます。多くの学生や教職員が帰省で留守にするウィンターホリデーに、寮生とカリム本人を利用し、カリムを寮長の座から引きずりおろそうと企てるのです……。

 

「一番」という名の自由を求めて


ジャミルはカリムを追放すべく、特別な魔法でカリムを巧みに操り、人が変わったように横暴に振る舞わせます。寮生たちも次第に「いつもカリムを補佐しているジャミルこそ、寮長にふさわしいのではないか」と言い出す事態に。ジャミルは困惑して見せますが、これこそが彼の狙い。

しかし、何故ジャミルは、自分の境遇を変えるため、こんなにも回りくどいことをしたのでしょうか。

呪縛を解くことは容易ではありませんが、深い懐を持つカリムならば、ジャミルの願いも聞き入れられたかも知れません。実際に、ジャミルの本心を知ったカリムは思わず「お前が寮長になれ! オレは実家に戻るから……っ」と零します。

しかし、ジャミルが何より望んだのは「一番」であること。それも、全てを奪ったカリムから“自らの手で”奪い返さなれば、本当の意味での自由を手にすることはできないと考えたのかも知れません。譲り続けてきたジャミルにとって、カリムに譲られた一番など何の価値も無いのです……ままならない2人~~(涙)

結果的に、心の乱れから自身の力以上に魔法を暴発させてしまったジャミルは、「オーバーブロット」という闇堕ち状態になり、強大な化け物を生み出してしまいます。騒動に巻き込まれた主人公や同級生、カリムによって討たれることになりますが、直後に始まるジャミルの幼少時代の回想シーンは、涙なしには読むことができません……。

ツイステッド・ワンダーランド公式Twitterより

ツイステッド・ワンダーランド公式Twitterより

すべての企てが水泡に帰したジャミル。一方で、ジャミルを追い詰めていたと自覚したカリムは、「改めて対等な立場で友達になろう」と涙ながらに訴えます。それに対し、ジャミルが“対等な立場”で口にした言葉は……。

「絶っっっっっ対にお断りだ!!!!」

……よっ、名言!

さらに言うと、口癖のように繰り返していた「カリム(アジーム家)のため」という台詞が、この4章終了以降のストーリーから「俺の立場のため」と保身を隠さない言葉に置き換わっていくところが、個人的に最高にしんどいポイント。ずっと彼らを追っていた立場として「そんな風に言えるようになって……」と天井を仰いだものです。


 

ジャファーでありジーニー?


 
ストーリー中にも、ジャファーを元にした台詞がいくつも登場しますが、特に闇堕ちしたジャミルがカリム達を吹き飛ばすシーンは原作そのまま! 映画を観てからプレイすると、あまりの再現度に感動します! ドッカーーーーーーーーーン!!!

しかしイベントストーリーやキャラクター周りの物語を読んでいると、どうやらカリム同様、ジャミルも複数のキャラクターが織り交ぜられていることが窺えます。

たとえば、映画の中でアラジンはジャスミンに対しずっと自分の身分を明かせずにいました。「本当の自分を生きる」というのは、アラジンとジャミルとの共通するテーマのようです。

そして忘れてはいけないのが、ランプの魔人・ジーニー! ジャミルには「いつでもどこでも(カリムに)呼びつけられてまるでランプの魔人みたいだろ」「願い事は3つまで…なんて俺も言ってみたいものだけどな」といった台詞や、「一人旅がしたい」と語る場面があります。

ジーニーも映画のなかで「どんな魔力や財宝より自由がいい」、「世界を旅したい」と自身の望みを吐露するシーンが。またジャミルがオーバーブロットした際に現れる化け物の手首には、ジーニーと同じ腕輪(手枷)が嵌っている等々、ジャミルにジーニーの要素が含まれていることは間違いなさそうです。

考察してもしきれない「余白」がしんどい



ALADDIN-SONGS FROM ALA


ここからはさらに個人的な考察となってしまいますが、ジーニーは挿入歌である名曲「フレンド・ライク・ミー」のなかでこう歌います。

「ご主人様、ホラ願いをどうぞ」「わたしはあなたの子分」
「最高のお友達」「ごきげんなベスト・フレンド」


一度聴いただけでジーニーの陽気な性格と実力が分かる自己紹介ソングですが、よく考えると、しもべで子分なのに、ベストフレンド……なんだか矛盾していませんか?

長い間ランプの魔人であり続けたということは、これまでの“ご主人様”は、ジーニーの気持ちに反して彼を友達としては見ていなかったのでしょう。しかし、ジーニーはランプからの解放を望み、アラジンは最終的にそれを叶えました。彼らの間には確かに友情が芽生えたのです。

この“主従関係と友達は両立できるのか”という点に、「オレたち、友達だろ」「友達じゃない」と繰り返す4章以降のカリムとジャミルが重なり、よりしんどくなっていく限界オタク。4章最終話が公開されたのは2020年6月1日ですが、約1年にわたり考察しても納得いく答えが見つかることはありません……。

ここまでの内容はあくまでも個人の解釈ですが、つまるところ、こんな部分にまで考察を巡らせる余白があるツイステがしんどい、ジャミルとスカラビアがしんどいという結論に至るのです。


ここまで長々と語ってきましたが、あえて皆さんに、そして自分自身にゼロから問いたい。「ジャミル・バイパーの魅力は従者であることなのか?」と。

ずるい回答になってしまいますが、個人としては「そうであり、そうではない」と思っています。

なぜなら、ジャミルのことが「従者だから好き」なのでも「カリムと主従関係だから好き」なのでもなく、能ある鷹は爪を隠す彼の生き方や、なんだかんだ面倒見の良いところ、思慮深く狡猾なところ、かと思えば虫が大嫌いだったりするギャップが好きだからです。

しかしそれらは、彼が生まれながらにカリムの従者であったからこそ備わった部分が大きく、もしもジャミルが別の人生を歩んでいたら? 主人がカリムじゃなかったら? 彼の魅力も全く異なる所にあったでしょう。

スカラビア騒動後、カリムはジャミルをかばい、周囲の反対をよそに副寮長という立場も存続させます。ジャミルも変わらずカリムの世話を焼き続けますが、その理由は「自分の有能な働きぶりを周りの奴らに見せつける」ため。

謀反を企てた反面、今の彼の優秀さを最も発揮できるのも「カリムの従者」という立場であり、その実力とプライドは本物。そしてカリムの真っ直ぐな人間性と、上に立つ者としての器の大きさもまた本物であると、ジャミルは分かっているのかも知れません。スカラビアしんどい。

さて、ここまで長々とジャミル・バイパーを掘り下げてきましたが、少しでもジャミルやスカラビアの、そして「ツイステッドワンダーランド」の魅力がお伝えできていれば幸いです!

ジャミルが心から幸せになってくれることを望みながら、一方で彼が従者として抱いてきた影にどうしようもなく憑りつかれている。そんなジレンマを抱え続けるスカラビアの民なのでした……。

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