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「センチネルバース」って何?令和に来る「バース」はこれだ!!!
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2023/01/17 18:00
目次
①『2gether』に始まった2020年タイBLブーム |
2gether |
ハマった頃には、既に豊かな畑が広がっていた……!ファンにとって、これほど嬉しいことはありません!
実はタイでは、既に「Yシリーズ」というBLドラマ文化が確立されているのです。ここで「Y」とは、実は日本語の「やおい(Yaoi)」の頭文字から来ており、「シリーズ」とはタイにおいて「TVドラマシリーズ」のことを指します。
タイでBLドラマが登場し始めたのは2014年からで、2016年には『SOTUS/ソータス』がアジアで大きなヒットになりました。その頃から各国にタイBLに注目するファンが表れ始め、日本でもじわじわと人気を集めていました。ちるちるでも、タイBL作品については数年前から取り上げさせていただいています。
そんなタイBLに2020年にハマった人は、入り口は特定の作品かもしれませんが、「タイBL、いいじゃん!」と思った時には既に名作Yシリーズがたくさん存在し、次はこれを見よう、次はこれを…というように、連鎖的にズブズブと沼にハマっていく構造だったのです。
SOTUS/ソータス |
タイBLドラマは、YouTubeの公式チャンネルにて全話無料で視聴できた点も、急速に裾野が広がった要因と考えられます。また、各国のファンがボランティアで字幕を製作し、公式に承認をもらうというシステムが確立されていたため、タイ語がわからなくても高い水準の日本語字幕で作品を楽しむことができました。
しかし、タイBLが日本であまりに流行ってしまったために、YouTube公式チャンネルでの視聴が続々とブロックされ、日本からYouTubeでタイBLドラマを視聴することがほとんどできなくなってしまいました。そのため、今は視聴するために有料の動画配信サービスやTVチャンネルを利用する必要があります。こういった変化が原因で新規ファンの参入がやや停滞してしまった、という見解もあります。
とは言え、好きな作品をお金を払って見られる喜びを感じるのもオタクの性(さが)というもの。有料の配信サービスに契約さえすれば、数多の素晴らしいタイBL作品を楽しめます。中でも最もタイBLの配信作品数が多いのはU-NEXTと楽天TVです。どちらも日本のタイBLファン御用達の配信サービスです♪
またYoutubeでも、数は少ないですが無料で見られる作品は今でもあります。『Bad Buddy Series』(2021)や『Cutie Pie Series』(2022)など、最新の作品がYoutubeで見られるというケースも、若干ながら増えているのです。ちなみに『Bad Buddy Series』はTELASAで日本語字幕で視聴できます。
さらに2021年には、韓流ドラマのようにタイBLドラマが地上波で放送されたり、情報番組でタイBLドラマのことが扱われたりなど、じわじわと日本での影響力を増しています。
毎日のようにツーショットが投稿され、中には「匂わせ」のような投稿も!? それを見たファンたちは「写真には一緒に写っていないけれど同じ場所にいたのでは?」「このハートマークは相手役の◯◯に宛てているのでは?」と妄想して楽しんでいます♥『25時、赤坂で』ではないですが、「もしかして本当に……?」("is real")と思わせるほど、ファンへのサービス精神旺盛な絡みを見せてくれる俳優が少なくありません。特に『TharnType/ターン×タイプ』で主演を務めたミューとガルフの距離の近さは凄まじいものでした……(尊い)。
カップル役の俳優たちでインスタライブやファンミーティングなども頻繁に行われ、二人が仲良く話している様子がたくさん見られるという、あまりにも贅沢な幸せ。俳優たち本人に失礼のないよう、節度を持ってワクワク楽しみましょう❤︎
TharnType/ターン×タイプ |
もちろん、内容面でもシンプルに「面白いから」流行ったというのは間違いありません。多種多様なタイBLは、作品の一つ一つが個性的で魅力的なストーリーになっています。
さらにそこへ随所随所に挟まれる、日本のBLファンも共感できる「BLあるある」展開も既存のBLファンに刺さっていると考えられます。ポッキーゲーム、怪我の手当て、出会いは最悪だけど後々くっ付くCP、当て馬登場で深まる愛など、「どうなるかは分かってはいるんだけどニヤニヤしてしまう」シーンや設定に、安心して萌えることができたのではないでしょうか?
また大学を舞台にした学生ものが多い点も、日本の需要の隙間をうまく満たしたのではと記者は考えています。日本では、コミックスや小説においては学園ものはメインストリームの一つであるにもかかわらず、映画やドラマなどの映像作品では意外と学園モノが少ないのに比べ、タイBLドラマは大学生同士のカップルの物語がかなりの割合を占めているのです。例えば『My Engineer 〜華麗なる工学部~』 は大学を舞台に、"出会いは最悪だけど後々くっ付くCP"を描いた、まさにあるあるストーリーのBLでした。
My Engineer 〜華麗なる工学部~ |
アジアでK-POPアイドルが流行していることも、基盤にあったと考えています。タイでは邦人メンバーの在籍する世界的グループをはじめとしてK-POPが流行しており、日本でも、タイBLにハマった人の中にはもともとK-POPファンだった人が少なくありません。実際にタイBLドラマの中でもK-POPの話題が度々登場するなど、若者の間に普及していることを伺わせます。
K-POPアイドルは拡散力に特徴があります。ファンが出資し合って推しの広告を出したり、公式がネット上でさまざまな無料コンテンツを提供たりなどの特徴は、そのままタイBLにも見られました。こうしたノウハウがあったことでも、ファン層がある程度重なっていると推測できるかもしれません。
またK-POPの普及により、「アジアの異国の異言語を話すイケメン」に対して積極的に興味を持てたことも、アジア間でのBL実写文化の交流が促進された理由だと考えています。推しが韓国語やタイ語を喋っていると、韓国語って、タイ語って発音がなんとなく可愛いな〜などと思うことはないでしょうか? ちなみに日本語も、非母語話者からは「可愛い」と思われているということもあるようです。
<フィリピン発BLドラマ『Hello Stranger』予告>
タイドラマの中には、BLそのものの作品だけではなく、BLというジャンルを超えたメタ的なもの、例えば腐女子をメインキャラとした作品(もちろんBLパートもあり!)も生まれています。そうした常に進化し続ける面白さが、タイBLというジャンルを発展拡大させているのでしょう。
また最近はタイの外でも、『ゲームボーイズ』や『Hello Stranger』などのフィリピンBLドラマが急速な成長を見せており、その中では新型コロナウイルス流行下の状況を逆手に取った時代を映した名作も生まれています。マレーシアなどの東南アジア各国でBLドラマが制作されているようです。
日本でもタイBLの影響や、『おっさんずラブ』『チェリまほ』の成功を皮切りに、2022年は日本国内でたくさんのBLドラマが生まれました。
タイBLはそんなアジア全体の実写BL界に、大きな促進力をもたらしたといって過言ではないのではないでしょうか。
Hello Stranger |
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いかがでしたか? 今回は「タイBLが2020年になぜ日本でビッグウェーブを起こしたか」を中心に、実写BLの未来も含め、考察してみました。他にもこんな理由があるのでは? こんな展望があるのでは? というご意見があれば、是非教えてください!
「どうして流行ったのか」を分析すれば、「どうすれば流行るのか」を考えることができると思っています。もっともっと実写BLが増えてほしい! というのがファンの願い。今後のアジア実写BLの展開に期待大です!