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「センチネルバース」って何?令和に来る「バース」はこれだ!!!
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2021/04/04 18:00
80年代から90年代にかけて別冊少女コミックに連載された吉田秋生先生によるマンガ『BANANA FISH』が2018年にノイタミナでアニメ化され人気を博しましたね!
ストリートキッズのボス・アッシュとカメラマン助手の大学生・英二が出会い、マフィアの抗争に巻き込まれながらお互いに強い絆で結ばれていく物語で、BLファンからも絶大な支持を得ています。
このニュースがネット上を駆け巡る中で出てきたのが、「BANANA FISHはBLなのか?」という問題。
24年組の少年愛作品を彷彿とさせるようなアッシュと英二の強い結びつきを描きながらも、そもそもBLという言葉がなかった時代に少女マンガ誌に連載開始されている作品。
同時期にあった耽美な男性同士の恋愛を扱った雑誌『JUNE』ともまた違うテイストです。
そんな90年代は、ボーイズラブというジャンルが生まれた時代。
『風と木の詩』から脈々と受け継がれてきた男性同性愛をモチーフにした少女マンガの伝統と80年代に一世を風靡したJUNE系、そして当時爆発的な盛り上がりを見せた同人シーンの上にできた男の子同士の恋愛物語を商業出版で売るという業界、それがボーイズラブというジャンルなのです。
例えば、当時同人作家として絶大な人気を誇っていた尾崎南先生によって1989年に発表された『絶愛―1989―』は、BLのジャンルを切り開いた記念碑的作品と言われています。
少女マンガと『キャプテン翼』最盛期の同人シーンをつなぐ、まさにハイブリッドと言えるでしょう。
この『絶愛』のヒットに続いて、90年代に入ってから同人作家を中心に起用し男同士の恋愛を描いたオリジナルストーリーを掲載する雑誌が数多く創刊されました。
92年に創刊された雑誌『イマージュ』が「BOYS LOVE COMIC」というアオリを使ったことによって、以降この商業的なジャンルは「ボーイズラブ」と呼ばれるようになったのでした。
もちろん新しいものが誕生する瞬間なのでジャンルの境目はあいまい。『BANANA FISH』は『JUNE』・少年愛的な作品とのちに90年代誕生することになるBLをつなぐような作品といえるのではないでしょうか。
BL関係者による当時の回顧録『あの頃のBLの話をしよう』には、当時、書店員さんがBL書棚が設置されはじめる中でこのようにジャンルをまたぐような作品をどこに並べたらいいか悩むこともあった、というエピソードが収録されています。
さてここまで90年代の混沌とした商業BLシーンを振り返ってきました。しかしそんな時代だからこそ名作も多く生まれると言えましょう。
今回はそんな90年代の名作古典BLを一気にご紹介!
20年以上前と侮るなかれ! 今だからこそ逆に新しい作品や時代を経ても全く古くならない不朽の名作などなど、これを機会に挑戦してみるのもよいのではないでしょうか。
※以下では、90年代に連載が開始した作品を「90年代BL」として扱うため、連載・コミックス刊行終了が2000年代の作品も含みます。
まずは王道の作品から。
このころの王道の作品は、ハチャメチャでジェットコースターのような急展開が多いと言えます。
今からみるとめちゃくちゃすぎるけれど、堅実なストーリーを読みなれた我々の目には新鮮に映るかも……。そんなのアリ!? という展開に爆笑しつつ、フィクションだからこそ楽しめる世界に浸ってしまいましょう!
少年マンガ風味の王道はハズレなし!
現在もBL界の老舗として君臨し続けるレーベル「BE BOY COMICS」。
92年のオープニングの目玉として刊行されたのがこだか和麻先生による『KIZUNA―絆―』です。
少年マンガ家としてデビューされたこともあって、少年マンガのようなテイストを持ちつつ、今読んでも面白い王道中の王道ですね。
ちゃらんぽらんな攻め・円城寺と男前美人・蘭丸のカップルと
無口なヤクザの若頭・政とやんちゃなヤクザの息子・佳のカップル二つのカップルの物語が楽しめます。
連載期間が長いので途中いろいろなテイストが楽しめ、本格任侠モノとしてのアクションシーンも見事。
最終的に家族の絆を描いていこうとするストーリーには、とてつもない満足感を得られること間違いなし!
☆ビーボーイDXから新装版が出ているため、入手も比較的カンタンです!
洋ドラ風本格バディサスペンスにしびれる
こちらもBE BOY COMICS初期の看板作品。
アメリカを舞台にした刑事もので、骨太のストーリーでありながらも重すぎない描写が特徴です。少年マンガのようなアクションシーンも見どころ。
クールな黒髪の刑事・ディー×穏やかな日系人の刑事・リョウなど、描かれるキャラクターも魅力的で、女性も男女恋愛もガンガン出てきますが、嫌味でなく楽しめます。
刑事ドラマ、バディものが好きな人にぜひオススメしたい一作。
☆残念ながらコミックスは絶版になっていて、文庫版は出版されてはいるもののこちらも入手困難。電子書籍版が購入可能です。紙の本の再版を切実に希望!
絶対好きなCPが見つかる!長編群像劇
数多くのヒット作を飛ばし続けている志水ゆき先生の初期作品、『LOVE MODE』は これぞ王道!という物語。志水ゆき先生の得意とする群像劇の長編ストーリーの中で描かれる、イケメン×少年の二組のカップルは誰もが好きになってしまいます。
茶髪の穏やかな攻め×活発な黒髪の普通の高校生と、クールで不愛想な黒髪攻め×孤独で悲惨な境遇を送っていた金髪の高校生を始めとして、多数のCPが登場するので、お好みのCPがきっと見つかるはず!
名わき役たちにも大注目、志水先生の原点をご覧あれ!
☆『志水ゆき全集』(全6巻)に全編収録されているため、入手は容易。迷っている人もこれを機にご購入を検討してみてはいかがでしょうか?
空前絶後・唯一無二のBLを刮目せよ!
この作品を果たして「王道」と呼んでいいものか、かなり迷うところではあるのですが、BL界の頂点に君臨するその存在感はまさに王者の風格。
連載開始から20年経ってもいまだ人気は全く衰えず、本編完結後もファンからの強い希望で続編『春を抱いていた ALIVE』がスタート、現在も連載中。
三浦しをん先生をして「新田祐克に似たマンガは誰にも描けない」と言わしめるほど、ほかに類を見ない作品です。
二人のAV男優が共演をきっかけに恋人になっていく物語は、破天荒という言葉が陳腐に聞こえるほどめちゃくちゃなのに、なぜか読者がおいてけぼりにならない。まさに空前絶後の作品です。
一度読めば世界が変わったような感覚を得られるでしょう!
☆スーパービーボーイコミックスから現在も発売されています。続編『春を抱いていた ALIVE』は雑誌『BE・BOY GOLD』で連載中。
続いて邪道(?)、王道の真逆を行く“一作家一ジャンル”の世界は今読んでも読みごたえ十分! それどころか、むしろ現在のトレンドを先取りしていたのかも……? そう思えるほど今読んでも色あせない不朽の名作をとくとご覧あれ。
よしながふみの原点はここにある
現在は一般誌に活躍の場を移したよしながふみ先生ですが、BL作品を発表していた当時は「よしながふみだけは全部読む」というほどの熱心なファンもいたほどだそうです。
まさに元祖邪道、王道ではない道を切り開いた作品は、社会派であると同時に「BLでしか描けない何かがある」と思わせてくれます。物語を彩る素敵な女性キャラの存在感も大きいですね。
デビュー作『月とサンダル』は高校を舞台に繰り広げられる生徒や教師らの物語です。男同士の恋愛に付きまとう問題に正面から取り組む姿勢は当初から一貫していますね。
『1限めはやる気の民法』は大学生が主人公で、ちゃらんぽらんなゲイの大学生・藤堂×勉学に打ち込む田宮のカップルが描かれます。
自分が男が好きなことを否定していた田宮はの存在に翻弄されつつも、二人がカップルになっていく過程、さらに大人になった二人の日常も楽しめる作品です。
等身大の悩みを抱えながらもしなやかな強さを持ったキャラクターたちの姿は、時代を超えて共感してしまいます!
☆『月とサンダル』は残念ながら現在絶版となっていて、電子版も見当たらず……。『一限目はやる気の民法』はビーボーイコミックスから新装版が販売されています。白泉社文庫版(全1巻)もあり、入手しやすいです。
痛くも切ない青春のきらめきを閉じ込めた
男同士の熱い感情のぶつかり合い、一触即発、ヒリヒリするようなむき出しの魂のぶつかり合いでありながら、なぜか惹かれ合ってしまう……。
そんな男くさくも切ないこの物語は、いまだにもっともハードボイルドな学園BLマンガの一つと言えるでしょう。
大きなドラマが起こっているわけじゃないはずなのにハラハラするのは、キャラクターたちの痛々しいほどまっすぐな感情が伝わってくるから。
暴力・流血シーンも多く、青年誌の不良マンガに近いテイストは、骨太なヤンキーBLを求めている人にぜひ読んでいただきたい作品です!
☆HUG文庫版(全3巻)が出版されましたが、現在は入手困難。電子書籍版をご利用ください。描き下ろしも収録されているので、オールドファンの方もチェックしてみては?
邪道界に燦然と輝く金字塔
ファンの中でも評価が高く、いまだに根強い支持を得ている名作邪道BL。リバ、近親相姦、カップルがそれぞれ別の男と浮気……など次々に襲ってくる衝撃的な展開はまさに邪道中の邪道! どん底まで落ちていきそうなのになぜかページをめくる手が止まらない、そんなパワーを持った作品です
暗い過去にさいなまれている喜瀬川と適当に生きている普通の大学生佐伯の二人の重すぎる愛、ヒリヒリする想いと関係性、容赦なく襲ってくる日常と暴走する欲望は超弩級の読み応え。過去という深い沼に足を取られて沈んでいきそうになりながら、「天上の灯」を夢見る2人が生きていくことを選ぶ物語は必見です!
☆新書館より発売のWings文庫版(全2巻)が入手可能です。
元祖日常系は割り切れない大人の恋愛
ここまで比較的劇的な作品を多くご紹介してきましたが、こちらの作品は、元祖ほのぼの日常系と言えるような、芸術家と編集者の微妙な距離感をつづる低体温系ラブ。
かつて付き合っていた勇気と昇は再会し関係がまた始まる、と思ったものの……。
愛し合ってるはずなのになぜかかみ合わなくて、好きだけで突っ走れない、けど割り切れるほどドライでもない……そんな大人の恋愛を描いています。
ちなみに同名のドラマとは関係ありません!
☆続編『千の花』『美しく燃える森』を含めた三部作として、シャレードコミックスから現在も発売中です。
イカレたやつらのエロくバイオレンスな饗宴
一昔前の東京漫画社作品、今だったら『OPERA』や『onBLUE』をほうふつとさせるエッジの効いた珠玉の短編集です。荒削りな絵柄や描線は青年マンガの香りがしますね。
行きつくところまでクレイジーでありながらもどこか切なく抒情的で、「頭おかしい」がほめ言葉になる稀有な作品です。
☆ジュネコミックススペシャルよりコミックスが発売中です。
いかがでしたか? 今だからこそ読みたい名作の数々!
BLの長い歴史に想いを馳せてみるのもいいのでは? これを機会にぜひ挑戦してみてくださいね~!