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時代によって多種多様⁉年代別にみた実写BLの変遷

2024/09/11 18:00

禁断の愛から当たり前の日常へ…時代を彩る実写BLを追っていく！

2024年になってから放送された実写BL作品、何作品あるかご存じでしょうか？驚くことにその数なんと12本！そのうちの5作品が8月に放送された作品です。さらに、9月からは『ハッピー・オブ・ジ・エンド』のドラマ化もあり、近年実写BLは注目を増しています。

そんな実写BL作品、実は2007年から作られています。これまでの実写BL作品にはどのような特徴があるのでしょうか？また、どのような作品が実写化されているのか……？

今回は、実写BLの変遷と作品の特徴について詳しく調査してみました！ぜひ最後までお付き合いください！

◆目次◆
年代別に実写BLを見ていこう！
　①最初の実写BLは……？平成イケメンの学生BL！
　②重厚ダークBLの衝撃…神作品多数‼
　③ドラマから映画へ……！社会現象を巻き起こすヒット
　 ④新人イケメン俳優と王道展開
　 ⑤ドラマから原作へ。作品との出会いの場に
 実写化された作品の基準は？？

年代別に実写BLを見ていこう！

①最初の実写BLは……？平成イケメンの学生BL！

日本で一番初めに放送された実写BLは、2007年の映画『いつかの君へ』です。当時ミュージカル『テニスの王子様』で大注目を集めていた斎藤工さんと河合龍之介さんがダブル主演を務めました。淡く苦しい大学生同士の恋が描かれ、さわやかな印象を受ける作品です。

『いつかの君へ～ずっとそばにいてほしい～』

ミュージカル『テニスの王子様』で大ブレイクを果たした斎藤工&河合龍之介主演で贈る、兄弟の葛藤や友情を描いた切なくてあたたかい愛のドラマ。美術学校の写真科に通う深水ノボルと早瀬耕平。ある日、早瀬は図書館で借りた本の間に双子が写っている写真を見つける。本の前の借主だったノボルに何気なくその話をすると彼は過剰な反応を示し、そんな彼に早瀬は興味を持ち始める…。

当時は地上波進出はしておらず、映画作品が中心でした。コアなBL好きに向けて制作されていたことが伺えます。

他に放映されていた作品を見てみると、『そして春風にささやいて』をはじめとするタクミくんシリーズや『BOYS LOVE 劇場版』、『愛の言霊』など、高校生や大学生を描いた、いわゆる「学生もの」作品が多い印象を受けます。これには「平成イケメンブーム」の影響があるのではないかと考えられます。この時期は『ごくせん』や『花ざかりの君たちへ〜イケメン♂パラダイス〜』、『花より男子』など、「平成イケメン」が多く出てくる人気作品が放送されていた時期。そのような流行が実写BLにも波及していたのかもしれません！

②重厚ダークBLの衝撃…神作品多数‼

BLが世間に浸透してきた2010年代は、2014年の『どうしても触れたくない』や、2015年の『セブンデイズMONDAY→THURSDAY』など、BLファン向けに作られた作品もある一方で、一般層に向けた作品も目立つようになってきます。

その筆頭が、2017年公開の『ダブルミンツ』。この作品は実力派俳優である淵上泰史さん、田中俊介さんがダブル主演を務めており、本格的なサスペンスが繰り広げられます！

『ダブルミンツ』

「女を殺した―」ある日突然、壱河光夫(淵上泰史)の携帯電話にかかってきた高圧的な声の主は、
高校時代の同級生で、今はチンピラになっている市川光央(田中俊介)だった。すぐに光央のところ
に向かった光夫が目にしたのは、車のトランクの中に横たわる光央の彼女の麻美(冨手麻妙)の姿だ
った。
高校時代に出会った同じ“イチカワミツオ"の音の名前を持つ二人。光夫(川籠石駿平)は冷酷で高
飛車な光央(須賀健太)と、下僕として主従関係を結ぶこととなるのだった。
そして数年を経て、衝撃的な再会をした光夫と光央。かつての隠微な記憶が忘れられない光夫は、逆
らうことなく共犯者となり、森の中に穴を掘って麻美を埋める。光央が麻美としていたペアリングと
ともに…。
時が経って、自分のしたことが怖くなってしまった光央はあっさり警察に自首。警察は埋めた場所を
捜索するが、何も出てこない。取調べで、虚言を吐いたと叱責される光央の前に現れたのは、一匹狼
で光央が出入りしている暴力団を監視している、マル暴の中岡刑事(高橋和也)だった…。
この事件をきっかけに、光夫と光央の関係は、やがて高校時代の主従関係でない、新しい形の関係へ
と姿を変えていく。そして警察だけでなく、光央のボスである佐伯(小木茂光)も絡み、二人はやが
て取り返しのつかない犯罪の姿へと落ちていくのだった…。

また、映画『ひだまりが聴こえる』(2017年)、映画『花は咲くか』(2018年)など、切ないBLの実写化がさかんに行われていたのも2010年代の特徴。様々な壁と恋愛に葛藤する登場人物の心情が、繊細に描かれていました。

③ドラマから映画へ……！社会現象を巻き起こすヒット

実写BL作品が増え、BLが日常に馴染んできた2018年、ドラマ『おっさんずラブ』が大ヒットします。田中圭さんと林遣都さんなど実力派俳優が多数出演し、社会現象を巻き起こすほどの人気作品となりました。

『おっさんずラブ』

女好きだけど、まったくモテない33歳のおっさん・春田創一(田中圭)。
だが、しか~し! 彼はある日突然、“未曽有のモテ期"を迎えることに!!
それは文字通り“未曽有"の事態。
なぜなら、愛を告白してきた相手は…ピュアすぎる乙女心を隠し持つ“おっさん上司"黒澤武蔵(吉田鋼太郎)と、同居している“イケメンでドSな後輩"牧凌太(林遣都)だったからだ――!

2016年の年末深夜に単発ドラマとして放送され、ネットでも話題を呼んだ、あの抱腹絶倒の胸キュン・ラブコメディー『おっさんずラブ』が、レベルアップ&リニューアルを経て連続ドラマ化!
単発ドラマ版でも同じ役を演じた田中圭&吉田鋼太郎に加え、林遣都、内田理央、そして眞島秀和、大塚寧々ら新キャストも参戦し、2018年春“いちばんピュアなラブストーリー"をお届けします。

何もかもが想定外すぎる、恋の季節の到来――
ぐいぐい迫ってくる男たちに驚愕し、全力で拒む主人公・春田。
しかし、彼の頭の中からはいつしか“ピュアな男たちの存在"が離れなくなっていくことに…!
“常識"で考えたら、あり得ない。
でも、その“常識"ってそもそも何?
“人を好きになる"って…何!?
多くの人が普通だと思っている価値観を改めて問うラブストーリー『おっさんずラブ』。
笑って泣いて、ときめいて…!
気がついたら、男とか女とか…そんなちっぽけな既成概念を飛び越えて応援したくなる“真剣トキメキ・ラブコメディー"がついに開幕!!
おっさんたちのピュアな恋心の桜吹雪が、皆さんの心をほんのりピンクに染め上げます――。

また、2019年のドラマ『きのう何食べた？』では、西島秀俊さんと内野聖陽さんという実力派俳優がダブル主演を務め、こちらも人気を博しました。

社会人の日常を描いたこれらの作品は、世間の大半を占める社会人が共感できるものになっており、実力派俳優の出演も重なって、これまでBL作品に触れてこなかった視聴者にも広く認知されるようになったのではないでしょうか。

2020年代初頭には、赤楚衛二さんが主演を務めた『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』や萩原利久さんや八木勇征さんがダブル主演を務めた『美しい彼』も大ヒットとなります。この2作品は国内だけでなく、中国や東南アジアを中心に海外でもヒットを記録！グローバルに支持を獲得するようになりました。

④新人イケメン俳優と王道展開

2022年には、BLドラマのための放送レーベルができ、放送作品数が格段に増えました。『不幸くんはキスするしかない!』や『みなと商事コインランドリー』など、ラブコメ要素のある実写ドラマ作品が格段に増加したのも印象的です。

『みなと商事コインランドリー』

冷房も効かない古びたコインランドリー「みなと商事」を祖父から継いだ湊晃（草川拓弥）。都会のブラック企業で体を壊し地元に戻ったアラサーの湊は、地域に愛される店をのんびりと営んでいた。
ある日、イケメン男子高校生・香月慎太郎（西垣匠）が客として来店する。一緒に過ごす時間の中で歳の差を超えて仲良くなる二人。そんな中、湊がゲイであることがふとしたことから慎太郎にバレてしまった！年齢や性別を超えて惹かれ合う二人の恋の行方は…。ピュア過ぎる、ちょっぴりホットな真夏のラブストーリー！

『おっさんずラブ』を皮切りに、これまでシリアスな作品が多かった実写BL作品に変化が。先ほどご紹介した『30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい』、『消えた初恋』に続き、ピュアかつポップな恋愛物語が実写化される流れに。懸命に恋をする2人に、多くの視聴者をキュンキュンの渦に巻き込みました！

⑤ドラマから原作へ。作品との出会いの場に

実写BLドラマが日常に定着してきた近年では、原作未読でドラマから作品を知るBLファンも多くなってきているようです。『体感予報』や『ワンルームエンジェル』、『２５時、赤坂で』、『タカラのびいどろ』、『コスメティック・プレイラバー』など、原作が大ヒットした作品が多く実写化されていますが、レビューを見ると原作未読の方々が多く視聴しているのが見てとれます。このことから、実写BLは、新しいBL作品との出会いの場になっているといっても過言ではないでしょう。

また、『体感予報』はマカオで、『２５時、赤坂で』は韓国でファンミーティングが行われるなど、海外人気が加速しているのも注目ポイント。『美しい彼』が切り開いた海外での映像BL人気は、これからも盛り上がっていきそうです！