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【inタイ】「タイBL」の母国は今どうなっているのか!?ドラマと小説とマンガ事情に迫る

2021/04/16 20:00

各国のBLコンテンツを吸収するハイブリッドなタイBLファンに注目！

世界のBLの旅、今回の目的地はタイです。

日本のマンガに限らず、韓国や中国の影響を受け、色んなBLが同時に存在しながら発展しているハイブリッドなタイのBL文化。

日本でも先日、朝日新聞からタイのBLドラマについての記事が掲載されるほど、世界中の腐女子が注目しているといっても過言ではない、タイBL市場の発展ぶり。

今回は、リアルな「今」のタイBLの雰囲気をご紹介していきます！

もはや定番、再現度の高い日本マンガ

今回タイで購入して、日本語版と比較したのは『GIVEN4』と『カラーレシピ１』。

毎度ながら使う紙と帯を除き、表紙からカバー裏、中身のカラーページやオノマトペまで、完璧に再現されています。

最新刊の発売タイミングは日本より若干遅れていて、約一年後にタイ語に翻訳された正規漫画が発売されます。ただ、人気作はこれまでの巻数を一気に翻訳・発売することもあるそうです。

左/下：タイ語版　右/上：日本語版

『GIVEN4』

『カラーレシピ１』

そして、避けては通れない海賊版の流通問題。タイでは一体どうなっているのでしょうか？

日本の出版社がタイで開催している漫画イベント「MANGA Festival」の調査データによると、著作権に対する意識の高まりや、作品自体の値段の低下によって、そういった問題はなくなりつつあるようです。

タイにおける漫画の平均的な値段は、一巻60-90バーツ（約210-310円）。対して、タイのローカル企業Luckpim Publishingが出版した《GIVEN》は一巻90バーツ（約310円）でした。タイにおいて、BLマンガは比較的高値で発売されているにも関わらず、国内での売上はある程度一定して高いそうです。

また、日本とタイの企業による合弁出版社、KADOKAWA AMARIN（PHOENIX MAGENTA Comic）から出版された『カラーレシピ1』は195バーツ（約680円）。ローカル出版社よりも紙質と印刷にこだわっています。
さらに人気の作品は特装版（特典漫画＋クリアファイル）があり、1セットは375バーツ（約1,300円）で販売されています。

タイの平均収入からみると、日本とほとんど変わらない値段設定はかなり強気ですが、それでも入手したいというタイ腐女子からの強いニーズが伺えます。

「魔道祖師」など、中国のBL小説が大人気

タイのアニメイト（バンコク店）では、中国のBL翻訳小説 > 日本のBL漫画（少しだけ小説） > 日本の百合漫画、という順番で本棚に配置されていました。

店員の方によるとBL漫画の方がファンの母体数は多いものの、最近はインターネットを利用する若い腐女子に間で話題の中国BL小説『魔道祖師』の勢いがとても強いそうです。

実際、アニメイトではBL漫画が並んでいるものの、普通のデパートにある本屋にはBL漫画が並んでいませんでした。

その一方で、中国のBL小説が西洋ファンタジー小説と棚が隣り合わせて並んでいます。

性的な描写がほとんどない中国BL小説ですが、膨大な世界観と魅力のあるキャラ設定はタイの腐女子を夢中させているようです。

その人気っぷりは、街の本屋で独自にコーナーを持てるほど！

実際にBL小説の出版社サイトを覗いてみると、中国で有名な作品はほとんどタイ語に翻訳されています。例えば、2018年9月に連載が終了した、淮上の『雲破れ』は、翌年の2019年にタイ語版が出版されています。

こちらのBL小説は一冊300-400バーツ（約1,000-1,400円）で販売されています。

タイのBLといえば、小説とドラマ

タイでは、ネットBL小説も大人気。ネットフォーラムのPantipや、ThAiBoYsLoVEではアマチュアの腐女子がたくさんのBL小説を執筆しています。さらに最近では、readAwriteのような小説投稿サイトが増え、オリジナルから二次創作まで、様々な作品が創作されています。

これらのプラットフォームで執筆された人気のあるオリジナル作品は、「SENSE BOOK」や「Bakery Book」などの出版社から発売されることもあります。表紙は日本のBL漫画風もあれば、韓国漫画によくある美形・ロマンス小説のような写実なものなど幅広いことがわかります。